今回は、メキシコで妊娠・出産した時のお話です。
時間が経ってしまい既にうる覚えですが、完全に忘れる前に書き記しておきたく思います。
書きたいことが色々ありすぎるため、《妊娠》《出産》《産後》に分けて記事をアップすることにしました。
費用や日本との違い、メキシコあるある、これからメキシコや海外で出産する方のためのお役立ち情報なども盛り込んでいけたらと思います。
- 妊娠か?と思ったら ~検査薬を購入
- 最初に決めること ~日本で産むか、メキシコで産むか
- 病院選び
- 産婦人科での定期検診
- 妊娠中の薬の服用について
- 妊娠周期の数え方が違う ~9ヶ月で生まれるメキシコ
- 両親学級は理想が高い?!
- とにかく妊婦に優しいメキシコ人
- 妊娠中の食べ物について
- 産休申請のためイムスへGO!
- 出産前までに準備しておくもの
- メキシコにないもの
妊娠か?と思ったら ~検査薬を購入
メキシコでは日本と同じように、妊娠検査薬をドラッグストアで購入できます。
薬局カウンターで、薬剤師に
"Prueba de embarazo (プルエバ デ エンバラソ =妊娠検査薬)”と言えば、いくつか出して選ばせてくれます。
最初に決めること ~日本で産むか、メキシコで産むか
海外に住む日本人女性が妊娠した場合、まず最初に考えること。
それは「日本か現地、どちらで産むか?」です。
これによって全ての計画が変わってきます。
筆者の場合は悩んだ結果、現地メキシコでの出産を決めましたが、
それぞれのメリット・デメリットはその人によって違いますので、どちらが最良か見極める必要があります。
日本で出産するメリット/デメリットの例
メリット
➢ 里帰り出産ができる。
➢ 日本語が通じる。
➢ 日本の医療の方が安心。
デメリット
➢ 産休後の臨月にならないと日本に帰国できない。
➢ 夫は現地メキシコに残るので出産に立ち会えない。
➢ 子供を連れていつメキシコに戻れるのか?を考える必要あり。
➢ (夫がメキシコ人の場合)夫と義両親に大反対された。
メキシコで出産するメリット/デメリットの例
メリット
➢ 出産費用が日本より安い。
➢ 夫が一緒。
➢ 帰国する心配がないので、産休まで通常通り仕事に行ける。
デメリット
➢ 全部スペイン語。
➢ 医療体制に不安あり。
➢ 何かトラブルに遭った時に対応が難しい。
➢ 日本にいる家族に会わせたいが、新生児を連れての帰国は心配。
病院選び
公立か?私立か?
妊娠・出産時に通う病院を決めなければなりません。
メキシコの場合、条件が揃っていれば公立の病院で無料で受診・出産できますが、
医療体制が脆弱・常に混み合っている等の欠点があります。
検討した結果、筆者の場合は有料の私立病院にかかることに。
*病院選びの詳細は別記事に載せていますので興味があればご覧ください*
sunana.hatenablog.com
妊娠・出産で通院する場合において、
別記事で述べた病院の選び方にちょっと追加したい点を2つご紹介します。
病院選びのポイント① ~良き産婦人科医に出会う
良い病院を選ぶのに最も重要なこと。
それは相性の良い産婦人科のお医者様に出会うことです。
これがメキシコで如何に心穏やかに出産を迎えられるかが9割がた決まります。
メキシコは医者であってもフランクな関係を持てることが最大のメリット。
携帯のチャットアプリWhatapp(LINEのような機能)を使って、担当医と直接メッセージし合うのが普通です。
直接・すぐに医者に確認できるという点で、かなりの安心感を得られ、想像以上に助かりました。
病院選びのポイント② ~病院専用の駐車場があること
その他に重要視したい点は「駐車場」です。
メキシコの病院は、場所によっては路上駐車だったり、有料駐車場が遠い・・・ということが良くあります。そうなると・・・
➢ 車上荒らしなど安全上のトラブル
➢ 路上駐車する場所が見つからない
➢ 毎回駐車代がかかってしまう
➢ 駐車場から病院までが遠い
などの問題が。
何度も通う場所なので、「病院専用の安全で広い駐車場があること」
も条件に盛り込んで病院を選ぶことをお勧めします。
産婦人科での定期検診
さて、病院が決まりました!
定期検診の頻度は日本とほぼ同じ。
検診の様子は病院によりますので、以下は筆者が通院していた産婦人科の一例です。
一応、事前予約制。
ですが、大体30分以上は待たされます。
筆者の担当医はクールに見えてとてもフレンドリー。
妊婦の名前だけでなくその家族の名前も覚えており、
患者との会話の時間をたっぷりとってくれる人でした。
自然、雑談も増える→ 予約時間過ぎる→ 次の人待たされる
ここはメキシコ。
こんなことでクレーム言う人はいません。
メキシコ人って、本当に時間に対しておおらかで我慢強いなと感じます。
良い所でもあり、悪い所でもありますが。
検診内容は
① 体重・血圧測定
② 問診
③ エコー検査・心音確認
・膣エコー or 腹部エコー
・エコー写真を数枚くれますが、エコー画像を自分で写真や動画に撮ってもOK
④ 問診
費用 は800ペソ/回(約4,000円)でした。
妊娠中の薬の服用について
ビタミン剤の処方
妊娠時に産婦人科にて処方されたビタミン剤を紹介します。
処方されたと言っても、処方箋なしでも手に入るものです。
① elevit /葉酸サプリ
妊娠初期から産後の授乳期まで、1年以上服用していました。
値段は30日分で約300ペソ(1,500円)。
日本のAmazonで検索すると、30日分4,190円で見つけましたので、メキシコの方がかなり格安です。(同じelevitですが、内容量が異なります)
パッケージのスペイン語を読んでみます。
Mamá sana. Bebé sano. :健康なママ、健康な赤ちゃん
Antes /Durante y /Después del Embarazo:妊活中、妊娠中、産後に
Ayuda al sano desarrollo de los órganos de tu bebé y al reducir el riesgo de enfermedades en la etapa adulta:赤ちゃんの体が健康に発達するのを助けます。また発育過程で病気にかかるリスクを減らします。
② Bellafem /カルシウム
妊婦は通常の2倍のカルシウムが必要なため、栄養が不足しがち。
ということで処方されたのがこちらのサプリメントです。
値段は約400ペソ(2,000円)。
パッケージを読み解いてみます。
Bellafem:(これは製品名)
Maternal:妊婦向け
Suplemento alimenticio:食用サプリメント
Calcio con ácido fólico:葉酸入りカルシウム
Caja con 60 tabletas:60粒入り/箱
出典:Amazon.com
薬が嫌いな日本人・薬に頼るメキシコ人
妊娠中に体調が優れず病院へ行った時のことです。
妊婦でも飲める薬と処方してもらい、
同時にメキシコ人の医者から言われた一言。
「ちゃんと飲んでね!日本人ってほんとうに薬飲まないから困る!何でなの?」
それまで意識していませんでしたが、確かに、出来れば薬を飲まずに治したい。
理由は、
なんとなく体に(胎児に)悪いような気がするから・・・
薬漬けになっちゃうのが心配だから・・・
というふんわりした理由。
一方のメキシコ人は、ちょっとの体調不良でもすぐに薬を飲んだり注射しています。
どちらが良いとも悪いとも一概には言えませんが、これも国による習慣・考え方の違いでしょうか・・・
妊娠周期の数え方が違う ~9ヶ月で生まれるメキシコ
日本では妊娠周期を「十月十日」と表現したりしますが、
メキシコでは「9ヶ月」が妊娠周期です。
これは、日本は1ケ月を全て4週としているのに対し、
メキシコでは実際の週を当てて計算しているため、4週の時もあれば5週の時もあることにより、差が生じるためです。
また、日本は0週から、メキシコは1週から始まるため、ここで1週の差が生まれています。
両親学級は理想が高い?!
日本では自治体主催の母親学級がありますが、メキシコでは公的なサービス提供がなく、個人での受講がほとんどです。
筆者の場合も、個人で行っているクラスに申し込みしました。
当初期待していたのは、「産まれてからどうするか」のレクチャー。
抱っこの仕方、オムツの替え方、お風呂の入れ方、病気や怪我の対処法など・・・
しかし実際、全12回(TOTAL 24時間)のうち、知りたかったことの授業はわずか4時間程。
ほとんどの時間を割いていたのは「どんなふうに産みたいか」でした。
いわゆるバースプランですが、これに対するメキシコ人(私が受講したクラスがそうだったのか?)の理想が高すぎる。
また、担当の先生は自然出産に対するこだわりが強く、何度もシュミレーションさせられましたが、筆者は結局帝王切開になったのでほぼ役立ちませんでした。
とにかく驚きの授業内容だったので、そのうちの2例をご紹介します。
① 何時頃に産むのが良いか?
夕方近くに産めば訪問者がいないから半日ゆっくりできるよね!
みたいな話を2時間くらいしました。
② 出産当日のシュミレーション
陣痛が起こってからのシュミレーション。
まず陣痛が起こったら、タクシー手配や持ち物の事前準備・・・ではなく、
「シャワーに入れ。」
「何ならお菓子作りとかお勧め」
先生曰く、陣痛が起こってから病院に行くまでに数時間かかるので、まだ痛さの弱い時に待っているのに、気の紛れて時間のかかる菓子作りが最適だそうです・・・
ちなみにこのクラス、6組ほど参加していましたが、全員男性(夫のこと)も参加していました。
メキシコ男性は、出産関連のあらゆるイベントへの参加率が高いです。
男性側が希望するというよりは、そうせざるを得ない世間の目と家族間の圧みたいなものを感じました。
とにかく妊婦に優しいメキシコ人
普段から、メキシコ人男性は女性に対してとても紳士的です。
プライベートでも仕事でも、知らない人に対しても、
いわゆるレディーファーストが徹底されています。
(たまにやらない人もいますが、それだけでダメ男のレッテルが貼られることに・・・)
これが妊婦さんに対してとなると、
男女問わず、より優しさが増します。
席や道を譲ってくれる。
入口のドアを開けて待っててくれる。
メキシコ人は社会的弱者に対しては厳しい一方、身体的弱者に対して個人がとても優しい人種だと思います。
妊娠中の食べ物について
妊娠中に辛いことのひとつが、つわり。
そんな中でも食べられる食材として果物などが挙がりますが、
メキシコはフルーツ大国で値段も手頃なのでとても助かりました。
そして妊娠中に愛飲したものが、カフェインレスの紅茶。
コーヒーや普通の紅茶、緑茶が飲めなくなったため、代わりに良く飲んでいました。
スーパーで色々と種類が揃っています。
また、「羊水が少ないから、ゲートレー(スポーツ飲料)を飲みなさい!」
と産婦人科から指示されて飲んでいました。
*ゲートレーの詳細について興味がありましたらこちらの記事へ*
産休申請のためイムスへGO!
メキシコの労働法では、産前産後合わせて84日分の有給休暇を取得することができます。
この間、メキシコ政府のIMSS(イムス/社会保険庁)から給料分の金額が支払われます。
お金をもらうには、このIMSSが運営する公的病院で診断証明をもらう必要があります。
また、勤務先へ産休の許可を得るためにもこの診断証明が必要となります。
因みに筆者の場合はこの診断証明を入手するのに2日かかりました。
本来はインターネット上で時間予約の上、来院するのですが、なぜかできず、
1日目に直接来院して診断予約。
2日目に予約時間から4時間近く待ってやっと手に入れました。
出産前までに準備しておくもの
出産時・出産直後に必要なものをそろえておかなければなりません。
筆者の入院した病院では、必要なものは全て用意してくれたため、最悪何も持っていかなくても大丈夫でした。
ただ、物によっては追加料金の対象となるため、
費用に「何が含まれている/いないのか?」を病院側へ事前に確認しておいた方が良いです。
*日本から持ってきて良かったものについて興味のある方は、別記事もご覧ください*
メキシコにないもの
母子手帳
メキシコには日本の母子手帳のようなものはありません。
代わりにCartilla(カルティージャ)と呼ばれる予防接種用の冊子があり、役所で手続きの上入手できます。
マタニティマーク
メキシコにはありません。
妊娠初期のおなかが目立たない時期に助けが必要な場合にどうしているのか?
については、おそらく「各々の判断でどうにかする」が最も近い回答になると思います。
もし電車で具合が悪くなれば、
「妊婦でちょっとしんどいので席を譲ってくれますか?」
と言えば、快く譲ってくれるはずです。
日本もそうであってほしいと思いますが、中には拒否とか無視とかする人がいるようですね・・・ちょっと複雑な気持ちになります。
以上、筆者の妊娠期での体験談をもとにお話しさせていただきました。
次回は、出産のことについて書いていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。