メキシコ情報を発信しています。
先日、『家族・親戚をスペイン語でどう呼ぶか?』について書きました。
今回はビジネス編。
社内の人間や外部の客先担当など、相手によって変わるであろう『呼び方』。
企業によるところもありますが、メキシコの複数の企業で働いた経験談+メキシコ人への聞き取り結果をもとにお話ししたいと思います。
ファーストネーム(下の名前)が多い
ビジネス上では、苗字+「さん」を付けるのが一般的な日本。
一方のメキシコは、ファーストネーム(以下、名前)で呼び合うことが多く敬称もなし。
どの立場で呼び合うのか?
➢ 同僚
➢ 先輩と後輩
メキシコに先輩・後輩という概念がなく、皆一律で同僚のくくりです。
もちろん敬語では話さずタメ口。
➢ 課長と部下
多少の年齢差があっても、部下から課長に対しても名前で呼び捨てしています。
そしてタメ口です。
日本人には何とも違和感がありちょっとハラハラしますが、メキシコでは普通だそうです。
苗字で呼び捨てする場合
失礼じゃない?苗字で呼び捨て
名前の呼び捨てだけでなく、苗字を呼び捨てしているのも良く耳にします。
名前の呼び捨てと何が違うのか?どんなケースなのか?ですが、
相手と雰囲気で呼び方を決めている様ではっきりとした理由は良く分からず。
・・・ですのでこれは筆者の個人的な観察結果ですが、
➢ 社内に既に同じ名前の同僚がいるので区別するため苗字で呼んでいる
➢ 名前で呼ぶほど個人的に親しくないけど、同僚としてやり取りが多い
➢ 苗字に特徴がある、珍しい苗字(日本人もこれにあたる)
➢ 他の人達が苗字で呼んでいるので
・・・といった状況下で使われる傾向があるように思います。
ちなみに筆者の場合、いまはメキシコ人同僚から名前で呼ばれていますが、一緒に働き始めた当初は苗字で呼び捨てしてくる人が結構いました。
想像してみて下さい。
自分よりすっごい若くて後輩の新人社員から、いきなり苗字で呼び捨てされる光景を。
メキシコあるあるだと分かっていたので別に良いかなという感じでしたが、知らないとびっくりしますね。
社長も呼び捨てしちゃう
また、会話の場にいない人のことを話す時に、偉い人なのに苗字で呼び捨てにすることもよくあります。
メキシコ人 A氏:Sato comentó que...「サトウがこう言ってたんだけど・・・」
自分:「いやいやいや、社長だから!サトウさんでしょ!」
・・・という感じ。聞いているこっちがヒヤヒヤものです。
あまりにも周囲が呼び捨てしていると、
「サトウがさ~、」と言われて、「ウンウン、サトウがなんだって?」とつい返しちゃっている自分が・・・慣れとは恐ろしい・・・気を付けないと汗
メールの宛名も呼び捨て
メールで送る際にも、
Hola Sato, 「サトウへ」
と呼び捨てにしているメキシコ人がいてびっくりします。
(さすがに立場が上の本人に直接、もしくはメールで苗字を呼び捨てするのはメキシコでも失礼とされるようですが、それでも良く見かけます)
敬称を使う相手は?
さて、ここまでフランクな呼び方が一般的なことをお話してきました。
では敬称を使うのはどんな相手なのか?について見ていきます。
スペイン語で「〇〇さん」を付けるには
「〇〇さん」にあたるスペイン語は性別や婚姻状況によって変わります。
苗字(もしくは名前)の前に以下の敬称を付けます。
男性に対して :Señor(セニョール)※婚姻状況に関わらず
既婚女性に対して:Señora(セニョーラ)
未婚女性に対して:Señorita(セニョリータ)
例えば「ゴンザレスさん(男性)」ならSeñor Gonzalez (セニョール・ゴンザレス)。
どんな人に対して使われるのか?
➢ 役職が上に人(部長以上)
役員はDirector(ディレクトール)、社長は Presidente(プレシデンテ)と、名前の前に役職を付けて呼ぶこともあります。
➢ 社外の人間
取引先に対しては基本的に敬称をつけるのがマナー。
しかし、関係の良好な相手になればフランクに名前で呼び捨てすることが多いです。
➢ 相手の名前が分からない場合
例えば銀行や飲食店などサービス業の人達が不特定多数のお客さんに対して呼びかける場合は、”Señor(セニョール)”、などと敬称のみで使用されます。
「お客様」
女性の呼び方問題 ~結婚してるかどうかどうやって分かるの?
上記した様に、既婚女性はSeñora(セニョーラ)、未婚女性はSeñorita(セニョリータ)と呼び方が区別されています。
しかし女性に婚姻有無を聞くのは失礼。
特にビジネスの場で聞くのはセクハラにあたる行為。
では、どうやって確認するのか?
答えは、『誰かにこっそり聞く』。
相手の女性が同僚の場合、他の同僚に「彼女はセニョーラ?セニョリータ?どっち?」と聞きましょう。
では、誰も知らない場合や社外で分からない場合は?
この場合はいくつか対策があります。
➢ とりあえずSeñorita(セニョリータ)と未婚の敬称を使う
➢ 本人に呼び方を聞く
要注意ですが、婚姻有無を聞くのではありません!
「あなたのことをどのように呼べば良いですか?」と聞くということです。
その場合、「ラウラと呼んで」もしくは「セニョーラ・ラウラと呼んで」
など言われるのでその通りにすれば良いだけ。
婚姻有無が分からない回答もありますがこれで呼び方問題は解決となります。
➢ Licenciada(リセンシアーダ)
Licenciada(リセンシアーダ)とは学士のことで、ビジネス上で相手を呼ぶ時によく使います。
この肩書きについての詳細は後述します。
➢ 外国人だから使えるMs.
上記のようなやりとりが煩わしい場合の簡単な方法。
それは英語のMs.を使っちゃうことです。
英語では婚姻有無に関わらず女性への敬称。
ここは外国人であることを大いに利用します。
➢ 日本企業であれば「〇〇さん」
こちらも逃げの最終形態。
メキシコ国内では周知されていませんが、日本企業に勤めているメキシコ人は「〇〇さん」という言葉と意味を知っている人は多いです。
実際、この方法が現地にいる日本人の間で最も多用されている方法だと思います。
肩書きへの強いこだわり
メキシコの特徴のひとつとして、メキシコ人は自身の学歴にプライドを持っており、肩書きに対して強いこだわりがあると感じます。
例えば先述したLicenciada(リセンシアーダ)。
※男性の場合はLicenciado(リセンシアード)
4年制大学を卒業した証である学士の称号であり、それを敬称として使用するケースが多いです。
働くメキシコ人男はみんなインヘ?
また学士の中でも専攻を重要視することもあります。
最も良く聞くのはIngeniero/a(インヘニエロ/ラ)。
エンジニアという意味で、技術関連の専攻分野を卒業した人はその分野に従事している人に対して使われます。
同僚同士でInge(インヘ)と呼び合うのをよく耳にします。
因みに他にも色々な肩書きがあるのでいくつかご紹介します。
マエストロは日本でも「巨匠」みたいな意味で良く使われます。
メキシコでも「先生」大学院を卒業した人はこの称号を使用できます。
➢ 博士 Doctor/a(ドクトール/ア)
ドクトールはドクターなので「医者」と思われがちですが、博士課程を卒業した人に使われます。
➢ 法学科を卒業した人 Abogado/a(アボガド/ア)
アボガドは弁護士という意味で知られていますが、たとえ弁護士でなくても法学科を卒業しただけで
「私はAbogado/a(アボガド/ア)=弁護士です」
と言えてしまうので仕事の依頼をする際は注意が必要です。
呼び方はそれぞれの好みでチョイス。
人によってはこの肩書きを付けて呼ぶよう注文してくる人も。
例えば・・・
メキシコ人 A :「(フランクに)ねえ、ラウラ!」
ラウラ :「”Ingeniera(インヘニエラ)・ラウラと呼んで!」
・・・といった感じです。
一部のメキシコ人ではありますが、彼らにとって肩書きで呼ばれることは自身の誇りでありこだわりなのでしょう。
どうやって学歴を知るのか?
相手を肩書きで呼ぶには、当然相手の肩書きを知る必要があります。
ビジネスシーンでどのように確認するのか?
彼らの名刺、メールの署名で確認することができます。
実際には、学士を持っていなくてもLicenciado/a(リセンシアード/ア)と呼んだりしていて、ニュアンスとしてはより仕事のプロな感じがするので使っているのかなと感じます。
社内外でどちらでも呼び方は変わらない
日本では話す相手によって第三者の呼称を変えています。
例えば、自分の会社の社長のことを話す時、社内では「サトウ社長」、社外では「サトウ」と言い分けていますが・・・
メキシコ含む欧米諸国では社内外ともに「サトウ社長」と呼び方を変えることはありません。
おわりに
以上、シチュエーション別での相手の呼び方やメキシコでの特徴をお伝えしました。
メキシコで働く方のご参考になれば、そうでなくても「なんか複雑な呼び方がいろいろあるのね」と思っていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。